ROBOTEC Corporation 株式会社ロボテック
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「「FOOMA JAPAN2018(国際食品工業展2018)」の情報
原理
 
電動トルクアクチュエータ ユニサーボとは?

 電動トルクアクチュエータ ユニサーボでは、減速機の出力軸にトルク計を設け、 実測トルクが所望のトルクとなるようにリアルタイムでトルクフィードバック制御を行っています。 減速機を使っているため、軽量コンパクトで大トルクが発生できます。 また、実測トルクを制御しているので、負荷側のトルク変動要因に対しても正確にトルク制御が可能です。 減速機やモータの粘性や摩擦、慣性モーメントなどの影響も、フィードバックの効果によって補償されるため、 高速・高精度なトルク制御を実現しています。

 
DDMの電流制御と電動トルクアクチュエータ ユニサーボの違い

 通常のサーボモータでトルク制御を行なう場合、発生トルクがモータ電流に比例することを利用して、トルクを制御しています。 発生トルクは静的には出力トルクと一致しますが、動的にはロータの慣性モーメントや粘性、摩擦などを発生トルクから差し引く必用があります。 また、減速機を使用すると摩擦損失が大きくなるため、減速機の出力軸のトルクを制御することは非常に難しくなります。 このため、トルク制御にはロータの径を大きくして、極数を増やしたダイレクトドライブモータ(DDM)が使われます。 (極数は、モータの電磁石のN極とS極の対の数で、回転速度は極数に反比例し、トルクは極数に比例します。 つまりトルクを大きくするには極数を増やすことが有効です。またトルクはロータの径に比例して大きくなります。 一方、慣性モーメントは質量が同じならロータ径の自乗に比例して大きくなります。) しかし、DDMは、減速機を使ったモータと比較して、 回転するロータが大きく重く、慣性モーメントが大きいため、動的に精密なトルクの制御を行なうことは難しいのが現状です。 図1にDDM(a)と電動トルクアクチュエータの構成の違いを示しました。DDMでは、モータ電流を電流センサで測定して、 電流ドライバが発生する電流が目標電流と一致するように電流コントローラが制御を行なっています。 DDMには出力軸には減速機はありません。 電動トルクアクチュエータでは、ロータは減速機を回転させトルクを増倍させ減速機の出力軸にトルク計が搭載されています。 トルク計は出力トルクを常時測定しています。この実測したトルクが外部から指示される目標トルクと一致するようにトルクコントローラが目標電流値を制御しています。 この構成では、減速機の摩擦やロータの慣性モーメント、粘性などはトルクフィードバックループの中に入るため、実効的な慣性モーメントが小さく、高速・繊細なトルク制御が可能になります。

DDMの電流制御と電動トルクアクチュエータの違い
             (a)ダイレクトドライブモータ                      (b) 電動トルクアクチュエータ

図1:ダイレクトドライブモータ(DDM)と電動トルクアクチュエータ ユニサーボの構成の違い


電動トルクアクチュエータは機構的にはACサーボモータと減速機、トルク計を一体にしたものです。サイズは、従来の減速機付サーボモータとほぼ同等のサイズを実現しています。 電動トルクアクチュエータには減速機を使っていますので、コンパクトですが大きなトルクを得ることができます。 トルク測定はユニパルスのスリップリングレストルク計と同様に、出力軸のトルクを直接測定しています。 出力軸には純粋なトルクしか掛からず、モータハウジングにかかる外力の影響を受けないため、高精度なトルク測定ができます。 また、トルク計のアンプとセンサとは、極めて近くに配置されているため、外部のノイズの影響も殆ど受けない構造になっています。

 
電動トルクアクチュエータ ユニサーボにしかできない多様な制御

出力軸の実測トルクを使ってトルク制御する電動トルクアクチュエータでは、これまで実現が難しかった以下のようなトルク制御が可能になりました。
・ゼロトルク制御
・定トルク制御
・コンプライアンス制御
・インピーダンス制御
・バイラテラル制御

まず、通常のサーボモータの特性と電動トルクアクチュエータの特性の違いを説明します。 図2に通常のサーボモータの目標回転角からの角度偏差に対するトルクの特性を示します。 角度偏差が0で無い場合にはモータに設定された最大トルクが発生します。 サーボモータでは実際の角度が目標角度から少しでもずれた場合、最大のトルクを発生させて角度偏差が0になるような動きをします。 このため非常に高精度な角度制御ができます。 しかし、図3に示したようにモータ出力軸の先にアームを取り付けてその先に当たった物体に力を伝えようとする場合、 目標角度が実際の物体との接触位置と少しでもずれていると、最大トルクにもとづく大きな力が発生するか、全く力が出ないかのどちらかになってしまいます。

通常のサーボモータのトルク特性

図2:通常のサーボモータのトルクプロファイル

モータ出力軸に固定したアームと物体の接触

図3:モータ出力軸に固定したアームと物体の接触

角度偏差に対するトルクの傾きが、ねじりばね定数ですので、通常のサーボモータを位置決め制御させると、極めて硬いねじりばね定数となります。

 
電動トルクアクチュエータ ユニサーボのゼロトルク制御

ゼロトルク制御とは、出力軸トルクが零になるように制御することによって、 出力軸側から軸を極めて小さい力で回すことができるような制御です。図4にゼロトルク制御時の角度に対するトルク特性を示します。 軸に微小なトルクが作用すると、トルクが発生しないように軸が回転します。 トルクがゼロになったときに静止させるため、微小な摩擦成分を仮想的に作用させています。 このため、正転時と逆転時に図4に示したようなヒステリシスが発生します。  電動トルクアクチュエータをロボットのアクチュエータとして使用して、ゼロトルク制御を行なうと、ダイレクトティーチングを簡単に実現することができます。

図4:ゼロトルク制御時の角度偏差-トルク特性

図4:ゼロトルク制御時の角度偏差-トルク特性

 
定トルク制御

定トルク制御は、負荷の角度に関わらず常に一定のトルクを発生させる制御です。 図5に定トルク制御時の回転角-トルク特性を示します。回転角によらずに一定のトルクになっています。 本制御は、巻線機やワイヤーソーなどの張力制御や、一定の力を発生するエアーシリンダや油圧シリンダの代替として有用です

定トルクモードでの回転角-トルク特性

図5:定トルクモードでの回転角-トルク特性

 
コンプライアンス制御

コンプライアンス制御とは、図6に示したように、角度偏差に比例してトルクが発生するような制御で、一種のばねのような特性を持っています。 トルクの上限はトルク制限値です。コンプライアンス制御領域では、角度偏差に対するトルクの傾きを自由に変えることができるので、柔らかい特性のばねも硬いバネの特性も再現可能です。

コンプライアンス制御時の角度偏差-トルク特性

図6: コンプライアンス制御時の角度偏差-トルク特性


 
インピーダンス制御

電動トルクアクチュエータでは、慣性モーメントや摩擦係数を指定して、動的な仮想負荷を実現出来ます。 この機能を使うと、慣性モーメントが大きくて摩耗するような仮想負荷を、摩耗無しで作ることができます。 例えば、車のワイパーやブレーキなどの仮想的に作ることができ、パラメータを変えるだけで様々な試験を行なうことができます。

 
バイラテラル制御

2つのモータの出力軸のトルクと回転角が等しくなるように制御すると、モータ1の力覚をモータ2に伝えることができます。 ここでは、左側のモータのアームを動かすと、右側のアームが同じ動きをします。 右側のアームが障害物にぶつかると、その感覚が手に伝わります。 電気的にトルクの比を変えることもできます。

応用例

主要アプリケーション

・モーター試験機
・ダイレクトティーチング
・押付け制御
・テンション制御
・力覚シミュレーション
・遠隔操作
・パワーアシスト

 
モータベンチの仮想負荷

電動トルクアクチュエータは減速機を使っていますので、出力軸の回転速度は速くはありませんが、モータベンチに使用すると、様々なメリットがあります。 まず、第1のメリットは、電動トルクアクチュエータはブレーキと違ってアクチュエータとしてモータを軸側から回すことが出来ます。 仮想負荷としても使えますので、段取り替え無しでこれら両方の試験を行なうことができます。 また、本体の発熱を気にしなくてもいいため(回生抵抗が発熱しますので、その冷却は必要です)連続的な試験が可能です。 さらに、非常にコンパクトになりますので、設置面積を大幅に節約することができます。 特に定盤サイズは非常に小さくなりますので、トータルでコストダウンにつながります。

モータベンチの仮想負荷
図7:電動トルクアクチュエータを使ったモータ試験機構成例
 
ゼロトルク制御を使ったダイレクトティーチング

電動トルクアクチュエータをロボットのアクチュエータに使うと、ゼロトルク制御によってダイレクトティーチングが簡単に行えます。 このビデオでは、電動トルクアクチュエータを使った5軸のロボットアームを使って、ダイレクトティーチングのデモを行なっています。 この例ではティーチング時に姿勢を保つために、重力の補償を行なっています。この状態で各軸をゼロトルク制御モードにすると、 ロボットアーム先端のエンドエフェクタを手で持って、動作を覚えさせることができます。この時、各軸の角度を記録しておいて、再現すれば、ロボットの姿勢が再現できます。

 
押しなぞり制御

電動トルクアクチュエータをパラレルリンクロボットに使用して指定の荷重で押付け、横移動させると、ワークの表面に沿って倣わせるような動作ができます。 ここでは波状のプレートの垂直方向の荷重をプレートの下に設置してあるロードセルで測定しています。荷重でフィードバック制御しているわけではなく、モニターしているだけです。 青い線が高さで平らな線が、荷重の偏差です。おおよそ100g程度の偏差で目標に追従していることが分かります。これが平面であれば、殆ど偏差無く追従できます。 このような制御は、人が行なっている研磨や拭き上げ、テープの貼付などの動作に応用できます。


 
空圧・油圧アクチュエータの置き換え

最近は省エネルギーの観点で、空圧や油圧制御から電動への置き換えが進んでいます。 しかしながら、電動では空圧や油圧では何でも無い定荷重での押しつけが難しく、単純な置き換えが難しかったのですが、 電動トルクアクチュエータを使うとこれらの機能を簡単に実現できます。コンプレッサや油圧ポンプなどを省略でき、大幅な省スペースとメンテナンス性を向上させることができます。

空圧・油圧アクチュエータの置き換え
図8:空圧・油圧アクチュエータの電動トルクアクチュエータへの置き換え
 
テンション制御

長尺物の巻き取りやワイヤーソーなどで、一定の張力で巻き取りを行ないたい場合、従来は図9(a)に示したような仕掛けで張力を測定し、 巻き取りモータまたは繰出しモータを制御しています。この場合、巻き取りから張力測定箇所までの距離が長く、 張力をフィードバック制御しようとすると、ワークが厚み方向に振動したりして、高速な張力制御を行なうことが難しい場合があります。 電動トルクアクチュエータを張力制御に使うと、張力測定とトルク制御をローラーで同時にできるため、ワークが厚み方向に振動するようなことが無くなり、 幅広い条件で張力制御を行なうことができます。また、設置面積も小さくすることができます。

テンション制御
         (a) 従来のテンション制御               (b)電動トルクアクチュエータを使ったテンション制御
図9: テンション制御比較
 
力覚シミュレーション

電動トルクアクチュエータを使うと、自動車のハンドルや、ドアノブ、シフトレバーやその他の操作レバーなどの操作フィーリング(力覚)を、 パラメータを変化させながらシミュレートすることができます。どのような動特性が操作フィーリングに関係があるかを、多くの試作品を作ること無く、収集することが出来ます。  図10に、角度に対するトルク特性の例を示します。角度が増えるに従って、二次曲線的にトルクは増加しますが、ある値を超えると、一旦トルクが減少します。 その後、角度にともなって、トルクは増加してピークを迎えます。このような特性は、クリック感があるような操作レバーで見られる特性です。 トルクの落ち込みの深さや位置、落ち込んでいる角度幅、粘性などのパラメータを変化させると、操作フィーリングは大きく変化します。 これらのパラメータを変化させながら官能試験を行なえます。

力覚シミュレーション
図10:角度に対するトルク特性の例
 
バイラテラル制御を使った遠隔操作装置

ここでは、ハンドグリッパを取り付けた5軸のロボットアームを遠隔操作する事例を紹介します。 ビデオの中でオペレータが操作している左手のグリップが、アームの動きに対応しており、右手の動きがグリッパの回転とグリッパに対応しています。 ロボットアームに作用する力は、オペレータにフィードバックされます。半田で作った重い卵(約800g)を掴んで持ち上げ、また、生卵を掴んで持ち上げて、最後に割って見せています。


パラレルリンクロボットは、可動部が軽いため応答性に優れ、力も3台のモータが力を出し合うため大きさの割りに大きな操作力を得ることができます。 2台のパラレルリンクロボットに電動トルクアクチュエータを使ってバイラテラル制御を行なうと、簡単に遠隔操作装置を作ることが出来ます。 このデモでは、先端部に電動トルクアクチュエータを1組追加して、回転できるようにしてバルブの開閉のデモを行なっています。 デモは、操作側の手元をカメラで撮影し、モニターを通して遠隔操作を行なっています。 カメラを通した遠隔操作は、遠近感が掴みにくく、操作が非常に難しいのですが、本機では力のフィードバックによって視覚に加えて手探りができるため、簡単にバルブの開閉を行なうことができます。

 
パワーアシスト

電動トルクアクチュエータは、力(トルク)を検出しながら力(トルク)を発生できるため、様々なパワーアシスト機器に応用できます。 応用例の1つとして、電動バランサを紹介します。これは、重量分をチェーンで上向きにつり上げて、あたかも無重力状態で荷物を扱えるようにしたものです。 本機を使うと、両手を使って微妙な位置決めが簡単に行えます。ショックを与えられない精密機械や金型、精密な部材の組み立てなどで使われています。 トルクリミットや速度リミット、角度リミットなどを使って、安全なパワーアシスト機器を作れます。

 
協働ロボットのパワーアシストデモ
人と共存して作業ができる協働ロボットは、安全のために出せる力に制限があり、重量物の取り扱いは不可能でした。 電動トルクアクチュエータを使うと、協働ロボットの非力さをカバーするパワーアシスト機器を作ることができます。 ここでは、電動バランサをつかって協働ロボットで重量物を搬送するデモをごらんいただけます。 ここでは、ロボットには電動トルクアクチュエータを用いており、ダイレクトティーチングしています。 ロボットの可搬重量は3kg程度ですがここでは15kg程度のワークを搬送しています。。

 
さいごに

電動トルクアクチュエータ ユニサーボは、出力軸のトルクを実測して制御できるこれまでに無い機能を持った、新しいアクチュエータです。まだまだ、さまざまな制御方法、応用があると考えられます。 モータにセンサを搭載することは、コスト高になる反面、実測トルクを使用できるため、極めて広いダイナミックレンジと、パラメータ変動に強い制御が可能となり、コスト高を補って余りある付加価値を有していると考えています。